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第一三共は特許切れ薬を売却で収益はあがる?中期経営計画は見直し?

第一三共

製薬会社の大手である第一三共株式会社が、今期2018年度(2019年3月期)は大変厳しい状況となっています。

前年度までの第一三共の売り上げを大きく引っ張っていたのは、高血圧症治療薬「オルメテック」。

この世界中でバカ売れしていた大型製品である「オルメテック」が、昨年度に特許が切れてしまいました。

 

売上の柱であったオルメテックの特許切れは、第一三共としては大打撃でオルメテックの売り上げを穴埋めできる製品は、しばらく発売になる見込みはありません。

2016年3月期のオルメテックの全世界での売り上げは2,841億円。

この年度から主要な市場である日本などで相次いで特許切れを起こし、売上の維持に苦戦しています。

2016年3月期からの第一三共の売り上げは、ギリギリ横ばいかわずかに減少してきている傾向。

 

COO(最高執行責任者)である真鍋淳社長も打つ手に苦しい中、2018年4月の記者会見では

「収益を支える重要な政策を検討中」

と語ってはいたものの、勝負となる手が具体的に見えない状況でした。

結局7月末に発表された第一三共の打ち手は「特許が切れた新薬の売却」という施策。

今回は第一三共の特許切れ薬の売却で、今後の収益はどうなるのかについてお伝えしていきます。

 

第一三共は特許切れ薬を売却?

第一三共のCEO(最高経営責任者)の中山譲治会長から「中長期に成長を加速する打ち手」として発表された「特許が切れた新薬の売却」。

長期収載品として特許が切れてしまった医薬品41製品を医薬品卸会社大手のアルフレッサホールディングスに84億円で売却するというものです。

 

第一三共のような新薬開発メーカーは、特許取得とともに新薬を開発して特許が切れるまで独占的に発売することができます。

しかし特許が切れると同時に後発品メーカーが、一斉に後発品(ジェネリック医薬品)を発売してしまうので、新薬開発メーカーの売り上げは一気に落ち込んでしまうんです。

特にオルメテックのような大型な新薬の場合、特許が切れたときのダメージが大変大きく、特許切れのことを「特許の崖=パテントクリフ」と呼んでいます。

なので第一三共としては、すでに特許が切れてしまった医薬品をいつまでも売り続けていても販売費がかかってしまうので、思い切ってすべて売却してしまうのです。

 

ただ、特許切れの41製品を売却したところで84億円。

オルメテックの年間の売り上げが2,841億円だったことを考えると、全く火消しの役に立たない状況です。

 

第一三共は特許切れ薬売却で2018年度の収益は?

第一三共のCEO(最高経営責任者)の中山譲治会長による会見では、2019年3月期の業績予想は、

「特許切れや薬価制度抜本改革などの影響から国内売上高は7.8%減収になる」

という厳しい見通しを発表。

眞鍋社長からも、「研究開発から生産、営業体制とあらゆる角度からコスト削減、効率化を進める」という考えを強調する発言がでています。

 

また第一三共がすでに発表している2019年3月期の業績予想では、売上高の減少だけでなく減益も予想。

連結純利益は8.8%減収の550億円となる見込み。

 

ただ現在の第一三共の売り上げを引っ張っている経口抗凝固薬「リクシアナ」は、順調に売り上げを伸ばしています。

新規患者数の処方箋数シェアは41.6%まで来ているので、国内外での市場に浸透してきている様子。

とはいうものの、まだまだオルメテックの穴埋めに至るほどの大型製品への成長は先のようです。

 

第一三共の中期経営計画は見直しか?

第一三共が発表している第四期の中期経営計画(2016~2020年度)では、

  • 2018年3月期
    売上高 9,400億円
    営業利益 1,000億円
  • 2021年3月期
    売上高 11,000億円
    営業利益 1,650億円

という目標計画になっています。

2018年3月期は、売上目標は達成しましたが、営業利益に関しては763億円で未達。

このまま打つ手がない場合、2021年3月期の「売上高 11,000億円、営業利益 1,650億円」は大変厳しい状況となっています。

 

また2025年のビジョンとして「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を掲げていて、がん領域に注力していますが、売上に貢献するのはまだまだ先のようです。

このような状況を踏まえて、第一三共の眞鍋社長は、第四期の中期経営計画の見直しを進めていることを明らかにしています。

中山会長も

「非常に保守的に申し上げて、第二四半期決算までには公表する。できるだけ前倒しして行う」

と大手製薬会社の生き残りも大変厳しい道程となってきました。

 

第一三共は特許切れ薬の売却だけでは厳しい

第一三共の特許切れ薬の売却に関してお伝えしました。

第一三共の主力品であった「オルメテック」の特許切れによって、この先しばらくの間、経営的に大変厳しい状況が続くことになります。

このままいくと中期経営計画の見直しが発表されることになりますので、また改めて新しい情報が入り次第お伝えしたいと思います。

 

第一三共に限らず、武田薬品工業、アステラス製薬も同様に大型新薬の特許切れによって、大きく売り上げが下がってしまうことによる危機感を常に持っています。

これからの新薬メーカーは、特許切れによる売上の急激な落ち込みに対応していくために、常に新薬を開発し続けなければならない環境になってきました。

この厳しい環境の中、新薬メーカーがどういう形で生き残りを果たして行くのか見守っていきたいと思います。