モーニング娘。の元メンバー、吉澤ひとみ容疑者が、飲酒運転・ひき逃げ事故によって過失運転致傷などの罪で起訴されました。
吉澤ひとみは赤信号の交差点に信号無視で突入し、横断歩道を渡っている自転車をひいた後、その場を逃走してしまったのです。
当初吉澤ひとみは「スピードは出していない」、「法定速度内だった」という供述をしていました。
しかしドライブレコーダーの映像の解析によって、吉澤ひとみの運転する車は時速86kmで走っていたことが判明!
法定速度は60kmだったので26kmオーバーということになります。
これで吉澤ひとみの立場はますます厳しい状態に追い込まれてしまいました。
ところで今回の事故のドライブレコーダーによる検証ですが、どうやって車の速度を解析しているのでしょうか?
「ドライブレコーダーの映像から速度って解析できるの?」
「ドライブレコーダーで解析した速度って精度が高いの?」
「ドライブレコーダーの解析ってどこの会社がやってるの?」
っていう疑問が出てきます。
そうですよね。
何となく解析できそうな気はしますが、どんな方法で解析しているんでしょうか?
そこで今回はドライブレコーダーの映像による推定速度の計算・解析方法を紹介します。
またその解析による速度測定の精度の高さについてもお伝えしますね。
この記事を読むことによって、ドライブレコーダーの映像解析の技術の高さに驚くかもしれませんよ。
ドライブレコーダーでの推定速度の計算・解析方法
ドライブレコーダーの映像記録をもとに、車の推定速度を計算・解析する技術が進んでいます。
今回の吉澤ひとみのひき逃げ事故の解析も同様ですが、いろいろな交通事故の分析につながっているんです。
これまでドライブレコーダーの映像は、そのレンズの特徴から外側がゆがんでいるため、以前は車の速度を正確に解析することが困難でした。
そんな中、横浜にあるベンチャー企業「ジェネクスト株式会社」が、ドライブレコーダーの映像記録から車の速度を正確に解析する技術を開発したのです。
この会社はドライブレコーダーのレンズのゆがみによる影響を精密に計測して、映像に映っている車の正確な速度を解析します。
実際に解析する方法は、つぎの通りです。
映像に映る規格の決まった大きさのもの。
例えばナンバープレート、横断歩道といった道路標示が、どのくらいで写っているのかというところで、距離を算出しています。
(ジェネクスト株式会社)
つまり規格によって大きさが決まっている「ナンバープレート」や「横断歩道」、「道路標識」などが、映像の中でどのように映って移動しているのかをもとに速度を解析していくわけです。
ある交通事故の事例を紹介します。
この映像は手前の車のドライブレコーダーに記録された映像です。
軽自動車の「黄色いナンバープレート」に注目してください。
反対車線の向こう側から黒い軽自動車がやってきます。
その後、この黒い軽自動車は横断歩道を渡る自転車の男性をひいてしまいします。
この映像でポイントとなるのは「黄色いナンバープレート」です。
この軽自動車の「黄色いナンバープレート」は規格で大きさが決まっているので、映像の中でどのように移動したかで車の速度を解析できるんです。
事故当初、軽自動車の運転手は「制限速度の40キロ以内で走行していた」と主張して、この映像があるにも関わらず、「車:自転車=6:4」の過失となりました。
ところがその後、ジェネクスト社に映像の解析を依頼。
その結果、事故の瞬間の車のスピードは「時速50キロ前後」と判明。
軽自動車の運転手は制限速度を超えて運転していたことが証明され、「車:自転車=9:1」という形に逆転!
車の運転手側の過失が全面的に認められたのです。
このようにドライブレコーダーの映像から、車の推定速度を計算・解析する技術が進んでいます。
もちろん計算の指標となるのはナンバープレートだけではなく、様々な技術を用いて精密に計算・解析しています。
この技術は特許が取得されており、「既に撮られた映像から距離角度を測定するのは、私が知るかぎり弊社の特許だけです」とジェネクストの笠原社長。
今までのように当事者の記憶や主張に頼る検証ではなく、精密な解析に基づく証拠を生み出すことができるようになったんです。
ドライブレコーダーによる速度の解析の精度は高い
ではドライブレコーダーの映像による速度の計算・解析の精度は高いのでしょうか?
じつはドライブレコーダーに使用されているレンズは、より広い視界を映すため「広角レンズ」が使用されています。
そのため映像の外側に行くほど歪みが大きくなり、通常のカメラと比べると実際の大きさより大きく見えてしまうのです。
なので映像から車の速度を割り出すのはなかなか難しいのが現実でした。
しかし、ジェネクスト社による技術開発によって、ドライブレコーダーの映像から速度を解析する精度がかなり高くなりました。
それは「カメラの歪みの補正・修正を⾏わない⼿法」による映像解析を行うためです。
このあたりの技術は特許を取得しているため、一般には公開されていませんが、この技術開発の成功によってドライブレコーダーの映像解析は格段に進化しました。
ちなみにジェネクスト社のHPに掲載されている特許活⽤によるメリットです。
- カメラの歪みの補正・修正を⾏わない⼿法のため映像・画像の加⼯や修正を⾏わずに位置特定が可能
- 推定ではなく、計測が可能
- ドライブレコーダーの設置⾼・設置⾓を確定させた距離計測
→ ⾞両のアクセル・ブレーキ操作によるサスペンションの⾓度を補正し、より精度の⾼い位置特定を実現 - 画像に直線を引くことなく位置特定が可能
→ 歪んでいる映像・画像に対し直線を引くことは道路に対して曲線を引くことと同じである
かなり高度な技術を用いて精度の高い解析を行なっています。
このようにドライブレコーダーの映像を解析することで、「あいまいな記憶」や「一方的に有利な主張」に反論する証拠をつかむことが可能です。
また後日の現場検証ではわからない、事故当時のリアルタイムの状況の検証を行うことができますね。
まとめ
ドライブレコーダーでの推定速度の計算・解析方法を紹介しました。
またその開発された技術の精度は非常に高いものです。
交通事故の過失責任の判断においても、十分な証拠となることが立証されています。
今回の吉澤ひとみのひき逃げ事故についても、ドライブレコーダーの映像解析が役に立ちました。
吉澤ひとみが当初主張していた「制限速度で運転していた」という話は、ドライブレコーダーの映像による速度解析で事実ではないということかわかってしまいました。
今度もドライブレコーダーによる映像解析によって事実が証明されて、そのおかげで救われる人が出てくるかもしれませんね。